以前は「雑種」と呼ばれていた犬が、今ではかわいいミックス犬として人気です。欧米ではデザイナーズ・ドッグなどと呼ばれ、希少性の高い犬としてブランド化している犬種もあるとか。
特に片方の親犬にプードルを持つミックス犬は、毛が抜けにくいという特徴を生かし、犬アレルギーを持つ人でも飼育できる使役犬としての活躍が本来の作出の目的だったそうですが、その後は愛玩犬としても人気を博しています。
今回はそんな話題のミックス犬の中でも、天性のかわいさと性格の良さを持つ「キャバプー」についてご紹介します。
キャバプーの特徴
キャバプーは、かつてイギリス王室でもたいへん愛されたキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルと、フランスの国犬ともなったトイ・プードルを親犬種に持つミックス犬で、キャバプーのほかにも「プーキャバ」等とも呼ばれています。
親犬種からしても、大変優美な印象を持つキャバプーですが、アメリカでセラピードッグとして活躍することを目的に作出された犬です。日本ではそのような作出背景とは関係なく、愛玩犬として親しまれています。
もちろん、犬アレルゲンにならないなどの飼いやすさだけでなくても、日本の住環境においてキャバプーはすばらしい家庭犬の特徴を合わせ持っていますし、どちらの親犬種が色濃く表れても、その親しみやすさは間違いありません。
純血犬種同士のミックス犬の作出には、相性が悪く、避けたほうが良い犬種もありますが、そんな目的交配が行われたくらいなので、キャバプーに悪い要素は無いといえるでしょう。
体重7kg前後、体高31cm前後の大きさが平均的で、親犬種の傾向によって大きさも分かれます。キャバリアの優雅さとプードルのかわいらしさとを併せ持ち、クリクリした丸い瞳がとても印象的です。
毛質は、クルンとカールしたプードルタイプの特徴が多く出るようです。毛色には、ブラック、ホワイト、ルビーカラー、ゴールド、ブレンハイム(耳の間にひし形の斑があるキャバリア独特の茶色と白の斑模様)、トライカラー(黒と白)などの毛色があります。
キャバプーの性格
キャバプーの親犬種であるキャバリアは、活発で、愛情深く、友好的。おおらかな性格が魅力です。一方の、トイ・プードルも、快活で賢く、明るく人や他の犬に対しても大変フレンドリー。そんな親犬種の優秀な家庭犬として相応しい要素を兼ね備えたキャバプーは、とても社交的で人見知り・犬見知りをしません。
愛嬌があり、おっとりとしたタイプのワンちゃんが多いようです。人に対する愛情の深さ、忠誠心の高さから、小さな子どもやお年寄りなどのいる家庭でも飼いやすく、家族の一員として大いに愛されるでしょう。
キャバプーは人とのコミュニケーション、スキンシップが大好きです。しつけのしやすさはもちろんですが、人と一緒に何かをする遊びやアクティブに人と行動を共にすることを大変好みます。そのため、留守がちで、あまりかまってあげることができないでいると、ストレスをためてしまったり、内向的で神経質な性格になってしまったりします。
キャバプーの持っている賢さや学習意欲の高さを生かした知的な遊びや適切な運動などを怠らず、日頃から信頼関係をしっかり築いて、本来持っている素晴らしい要素をおおいに発揮できるようにしてあげましょう。
キャバプーのお手入れ
親犬種のキャバリアは、毛が抜けやすいタイプのワンちゃんのため日常のブラッシングなどのお手入れが欠かせませんが、キャバプーはプードルの特性を受け継いでいることから、抜け落ちることの少ないプードルタイプの毛質になることが多いようです。
しかし、毛が抜けないからブラッシングの必要が無いか、というとそんなことはありません。皮膚の血行を促し日常的な健康を保つためにも、日ごろからブラッシングなどのお手入れをしてあげるようにしましょう。本来抜け落ちる死毛が残っていると、被毛の中が蒸れたり不衛生になり皮膚病の原因になってしまいます。
プードルタイプの毛質の場合は、日々抜け毛に悩まされることは少ないですが、定期的なトリミングが必要になります。キャバリアタイプの毛質になった場合は、換毛期などに抜け落ちる抜け毛の量は多くなりますので、スリッカーブラシなどを用いて取り除いてあげましょう。
また、垂れ耳のキャバプーは耳の手入れにも気を付けてあげましょう。耳の中の毛を抜いて通気性を確保してあげることで、細菌の増殖や蒸れなどによる炎症を予防できます。
気を付けたいキャバプーの病気
キャバリア、プードル両親犬種がなりやすい病気にはもちろん注意が必要です。特に、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼などの関節に関わる疾患と進行性網膜萎縮症は遺伝性の疾患です。親犬種の病歴を確認しておくと安心です。
特にキャバリアは、その他にも高齢になるにつれて白内障などの目の病気や心臓の病気にかかりやすいと言われています。また、先天性疾患として後頭骨の奇形によって小脳ヘルニアや脊椎空洞症などさまざまな症状を起こす病気を発症しやすい犬種です。
ミックス犬は、一般的に病気にかかりにくく丈夫なワンちゃんが多いと言われていますが、親犬種にこのようなかかりやすい病気があることを事前に知っておくと、もしもの時にも冷静に対応できますね。
今飼ってみたい理想の子犬、キャバプー
マンションだから無駄吠えしてほしくないな。トリミングで色々なデザインカットも楽しんでみたいな。子どもと一緒に遊べるワンちゃんがいいな。そんな理想をすべて叶えるのが、キャバプーといっても言い過ぎではありません。
くわえて、その天真爛漫な性格がキャバプー最大の魅力と言ってもいいでしょう。不動の人気を誇るトイ・プードルと、優雅な佇まいのキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル。この組み合わせを最初に考えた人に拍手を送りたいですね!