都心から車で数時間のドライブで行ける、愛犬と過ごせるドッグリゾートや宿泊施設もずいぶんと増えました。日常とは違う自然の中では、愛犬もノビノビと過ごすことができるでしょう。
そのためにも、習慣化した毎日とは違ったドライブ旅行で犬が直面するさまざまな「普段と違うこと」に慣れる、ということがお出かけを楽しめる犬になれるかどうかのポイントです。
ここでは、主に車でのドライブ旅行に必要なしつけのコツやマナーについて紹介します。
この記事を書いた人
カジ ノブエ
ドッグトレーニング・インストラクター/スウェーデン式ドッグマッサージ・セラピスト 犬の行動心理に基づく英国式ドッグトレーニングを日本に取り入れた第一人者、松本和幸氏に師事。英国ペットドッグトレーナーズ協会公認、リン・バーバー氏のディプロマ取得。
出張ドッグトレーニング「おりこうワンちゃん」 http://www.orikou-wanchan.com
ドライブは楽しい! 自動車を愛犬の第二の我が家にするしつけ
愛犬と車でどこへでも行けることが珍しくなくなってきた一方で、車酔いをしてしまったり、車に乗ると大騒ぎしてしまったりと、ドライブが苦手な犬も少なくありません。
犬は体験したことの印象によって学習します。車に良いイメージがつけば、車やドライブが大好きになりますし、車に悪い印象しかなければ車の音を聞いただけでも大騒ぎをして嫌がったり、怖がったりしてしまうようになります。
車が大好きなドライブ犬に育てるには、やはり第一印象がポイント。車が愛犬にとって楽しいものであり続けるためにも、まずは最初に車やドライブに対する良い印象をしっかりと刻んでおくしつけが大切。
もしも、最初に車やドライブに怖い思いをしてしまっても、後から良いイメージに変えていけば大丈夫。時間はかかってしまうかもしれませんが、順応性の高い犬の能力は、正しいしつけで嫌な思い出を水に流し、楽しく今を生きることができます。
あきらめずに、愛犬に合ったペースで徐々に車やドライブに慣らしていくしつけをしてあげましょう。
初めて車に乗せる時は、ドライブする前の段階で慣れる期間をつくってあげましょう。まずは、停車した状態の車内で愛犬と遊んだりごはんやおやつを食べたり、家の中と同様に楽しく過ごす時間を何度か経験させます。
次に、車のエンジンをかけて同じことを繰り返します。車内の匂いや音などに慣れてきたところで、いざドライブに出発。最初は犬を車に乗せて近所を一周するくらい、など走行時間を短くして走る車に慣れる時間をとってあげることがコツです。
ゆっくりと慣れていけば、長距離ドライブなどいつもと違うおでかけでも、犬も自信をもって過ごすことができるでしょう。
愛犬のドライブ デビューの前にマスターしておきたい「ハウス」のしつけ
ドライブ中は基本的に犬をクレートやキャリーケースに入れること、ということは愛犬のもしもの事故を防ぐためにも大切なこと。
ドライブ中に、膝の上や助手席に犬を乗せていると、よそ見をしたり犬が何かの拍子に動き回ったりして、思わぬ事故につながってはせっかくの楽しいドライブが台無しです。
移動中はクレートやケージなどに犬を入れておくようにしたいものです。普段から愛犬にハウストレーニング、しつけをしっかり行うことで、お行儀よくドライブを楽しむことができるようになるでしょう。
最初に愛犬とドライブした先がワクチン接種のために連れていった病院だとしたら、キャリーバッグ=怖い、痛いところに行くもの、という印象がついてしまい、犬がクレートやキャリーバッグに入ることを嫌がるようになってしまうケースも少なくありません。
入ることを拒否するようになっても、絶対に無理やり愛犬を押し込めるようなことは避けましょう。ますます嫌なイメージがついて、愛犬との外出時は毎回大変な思いをすることになってしまうことにもなりかねません。
愛犬が眠たくなった時にそっと入れたり、その中でごはんやおやつを与えたりして、クレートやキャリーバッグが暖かく安心できる場所だと愛犬に感じさせるようなしつけを行いましょう。
そして、好きな場所にたくさん連れて行くことで「バッグに入ると楽しいことが起こる」という経験が愛犬をキャリーバッグ大好き犬に育てていきます。
犬同伴のドライブで知っておきたい飼い主さんのマナー
車内はプライベートスペースでも、ドライブ時はもちろんドライブの合間の休憩時に気を付けたいことは意外と多いもの。人も犬も快適なドライブを楽しむために、次のことに気を付けておきましょう。
- 窓から犬に顔を出させないしつけ、ドライブ中は愛犬の安全のためにもシートベルトをさせる、またはクレートなどをきちんと固定するなどして、安全に配慮しましょう。
- 車を駐車する際は極力、駐車場の端の方に停めるようにし、混雑しているエリアを避けましょう。
- ドライブの途中の休憩時は必ず犬をリードにつなぎ脱走防止を心掛けましょう。
- 高速道路のサービスエリアなどでの休憩時、犬の排泄物などの処理はルールを守って行いましょう。指定された場所以外での犬の排泄行為も控えましょう。愛犬用のマナーポーチやトイレシートなどの準備も忘れずに。
- 休憩時に愛犬を車内で待たせる場合、愛犬が待ち焦がれて吠えてしまったりしないよう、短時間で戻る、誰かが犬のそばにいて交代で休憩する、など周囲に配慮しましょう。高温になりやすい車内に犬を待たせることは愛犬にとっても危険なことです。
愛犬と宿泊!素敵な思い出づくり
ドライブ旅行の旅先で楽しむ自然あふれる土地のおいしい空気。
いつもの都心を離れ、リフレッシュできる気分になるのは、人はもちろん、愛犬もきっとのびのびとした解放感を味わえるひと時に違いありません。
広々としたフリーエリアで一緒に遊んだり、愛犬と同じ空間で食事や温泉を楽しんだり、普段の生活よりもむしろ愛犬との距離が近い経験ができるのも、愛犬とのドライブ旅行の醍醐味でしょう。
日常の中で、電車や車での移動にも慣れ、一緒に出掛けることを楽しめる余裕ができたら、思い切って宿泊する旅行に出かけてみましょう。いつもと違う愛犬の笑顔が見られるかもしれませんよ。
お泊りデビューの前にマスターしておきたい「トイレ」のしつけ
普段と異なる旅先の環境では、愛犬が家では上手にできていたトイレを戸惑ってしまうケースもあります。このサインがトイレの合図、という練習、しつけをしておくことで、「ここで排泄してもいいんだな」と愛犬も理解しやすくなります。
普段から、完璧にできているから当たり前と思わず、時々は上手にトイレができることをほめてあげることも大切なしつけです。
トイレトレーニングの基本は「出来たらほめる」しつけです。
トイレでオシッコ・ウンチをしている最中に「チーチーチー」や「ワンツー、ワンツー」などとリズムの良い掛け声をかけましょう。
掛け声=排泄、という習慣がついていると、普段と違う場所でトイレに戸惑っている時でも、掛け声をかけてあげることで、自信をもってトイレをすることができるでしょう。
いつもと違うトイレシートなどに戸惑ってしまう場合もあるので、普段使っているものを持参してあげると愛犬も安心ですね。
犬同伴の宿泊で知っておきたい飼い主さんマナー
犬同伴の宿泊OKのホテル・旅館などでは、犬と過ごす際に必要なトイレの処理やごはんなどはもちろん、さまざまな配慮がサービスの一環として整っていることが多いです。
けれども、そのサービスが当たり前と思わず、基本的なルールやマナーを守って気持ちよく過ごしたいものです。
- 宿泊先の約束事やルールは事前に把握しておきましょう。
- 狂犬病やワクチン接種も忘れずに。
- 首輪とリードにゆるみや壊れがないか確認しておきましょう。いつもと違う環境の中では脱走のリスクがあることも忘れずに。
- 他の犬とコミュニケーションをとるのは、お互いにあいさつなどして飼い主さんの了承を得た上で行いましょう。
- マーキング癖のある愛犬にはマナーベルトの着用も。
- 排泄物の処理は飼い主さんが責任を持って行いましょう。そのためのマナーグッズの携帯も忘れずに。
- ヒート中や皮膚のトラブル、体調が思わしくない時は思い切って旅行の延期を。
ドライブ旅行の為のしつけで、お行儀のよい犬を目指そう
家族やパートナーである愛犬は、誰が何をいおうとカワイイものです。
ちょっとくらい元気がよすぎたって、ちょっとくらい怖がりだって、飼い主さんのことを信じて愛情深く寄り添ってくれる愛犬は愛おしくてたまりませんよね。
360度完璧なしつけをする必要はありません。ただ、それぞれのライフスタイルに合わせて、愛犬が人と社会の中でストレスなく過ごすために練習する、しつけることは大切なこと。
犬との生活を楽しむためにも、最低限のマナーを愛犬にしっかりしつけてあげましょう。