香り高くアロマテラピー効果もあるコーヒーは、日常生活に深く浸透している飲み物です。コーヒーが苦手な方もいますが、多くの人はコーヒーの香りと味によってホッと一息ついているのではないでしょうか。
人間にとっては、リラックス効果のあるコーヒーですが、犬にとっては危険な成分が入っています。では、どんな成分が犬にとって有害となるのでしょうか。今回は、なぜ犬にコーヒーを与えてはいけないのか、その理由について解説します。
知っておきたいコーヒーの成分
リラックス効果や覚醒効果が認められていたコーヒーですが、近年の研究によってコーヒーには、肝臓・腎臓の機能改善、心肺機能の向上、脂肪の分解、消化促進、認知症予防、腸内環境改善、糖尿病予防などさまざまな効果があることがわかり、注目を浴びています。では、どんな成分がコーヒーにはあるのでしょうか。
コーヒーの主成分はカフェイン
コーヒーは、コーヒーの木になる実から作られます。収穫したコーヒーの実は、洗浄〜乾燥〜選別という工程を経て、焙煎されることで焦げ茶色のコーヒー豆となります。このコーヒ豆をミルで挽いてコーヒーの粉となるのです。
コーヒー豆には、300種類以上の成分が含まれていますが、最も多く含まれているのがカフェインです。100gのコーヒー豆にカフェインが含まれている量は約839mg。カップ1杯分(100ml)のコーヒーなら約60mgが含まれています。
カフェインは、コーヒー以外にも緑茶などのお茶類や栄養ドリンクに多く含まれています。最も多く含まれているのは玉露でコーヒーの約2倍量が含まれていますが、コーヒーはこの玉露についでカフェインが多く含まれている飲み物となっています。
カフェインとは?
カフェインは、植物に含まれているアルカロイドという有機化合物の一種です。アルカロイドは、チョコレートの主成分であるテオブロミンにも含まれていることで知られています。
このアルカロイドは、血管を拡張・弛緩させ、血流を良くする化学物質で、興奮剤と同じ効果があると言われています。
そのため、大脳を刺激して集中力や気力をアップさせる中枢神経刺激薬や血管拡張剤として使用されています。また、強い利尿作用もあります。
テオブロミンと違うところは、カフェインは食品添加物として指定されていることです。食品に苦味を追加する天然の苦味剤として使用されています。また、カフェインの持つ薬効成分から医薬品にも使われているのです。
コーヒーに含まれるカフェインには、覚醒効果やリラックス効果などがあります。少量の摂取であれば人間にとっては有効な成分ですが、犬にとってはこれが有毒となるのです。
なぜ犬にコーヒーをあげてはいけないの?
前述のように、カフェインには覚醒効果や利尿作用があるのですが、犬はこれが代謝できない体質なのです。犬はカフェインを解毒することが苦手なため、体内に蓄積され中毒を起こしてしまうのです。
犬がコーヒーをなめて、下痢、嘔吐、異常興奮などの中毒症状が出るのは、カフェインの持つ成分が過剰に作用してしうためなのです。ひどい場合は、頻尿、痙攣、震え、ふらつく、ぐったりするなどの重篤な症状を示す場合もあります。
犬がコーヒーを飲むと危険な量とは?
犬の体重1kgに対して150mlのコーヒーを摂取すると命の危険があると言われています。例えば、3kg程度のチワワの場合、缶コーヒー1本が危険な量となるのです。
缶コーヒーやコーヒーゼリーなどのように、ミルクや糖分が添加されているものは、犬が口にする可能性があるので、十分に気をつける必要があります。
犬がもしコーヒーを飲んでしまったら
犬が、コーヒーをゴクゴク飲むとは思えませんが、もし誤ってコーヒーを飲んでしまった場合は、動物病院に連れて行くことがおすすめです。
少量のコーヒーでは、中毒症状が出ない場合もありますが、体質的にカフェインが合わない場合や超小型犬の場合は中毒を起こす恐れがあります。
犬がコーヒーを飲んだ場合に、現れる中毒症状ととして興奮、痙攣、呼吸が荒くなるなどの症状があります。さらに重篤な場合は、全身の血管が拡張することで、出血やうっ血が起こります。
また、コーヒー豆やコーヒーの粉などを食べてしまった場合は、コーヒーを飲んでしまった時よりも摂取するカフェイン量が多くなるので、中毒症状が出ていなくてもすぐに動物病院へ連れて行きましょう。
カフェインに対する解毒剤はないため、薬によって吐かせる、状態によっては胃洗浄を行うなどの対症療法となります。
動物病院に連れて行った時には、飲んだコーヒーの量やいつ飲んだかなどが重要なポイントとなりますので、獣医師に必ず伝えるようにしてください。
人間にとってはリラックス効果があるコーヒーでも犬には危険!
犬がコーヒーを飲んでしまうのは、飼い主の油断に他なりません。美味しい飲み物である上健康効果も期待できるコーヒーですが、人間でも飲みすぎると中毒症状を引き起こす可能性があります。
犬の場合は、単なる中毒症状に収まらず、命に関わる場合があるので絶対に飲ませないようにしましょう。