宝永山は富士山と共に世界遺産に登録された山です。ところで宝永山がどこにあるかご存じでしょうか?
日本人なら一度は何らかの形で目にしたことがあり、外国人にも知られている富士山の一部で、南東側から見たとき少し窪んだところからコブのように見えるところが宝永山。富士山最大の側火山です。
富士山を登頂するには8合目当たりで1泊しながら山頂を目指すのが一般的ですが、愛犬を伴い富士山頂への登頂は行程に無理があるので今回は宝永山を目指し登頂してきました。
この記事に登場する愛犬
蕾(キャバリア×ビーグルのmix犬。女の子)
宝永山について
宝永山の誕生は1707年、幾度となく富士山は噴火を繰り返して現在の富士山に近い形を形成してきました。富士山で一番新しく噴火してできたのが現在の宝永山にあたり、なだらかなすそ野を広げる富士山に1カ所だけ噴火口として、標高2693mの宝永山が誕生しました。
富士山山頂への登山口は4コースあり、登山者が一番多い吉田ルート、富士宮口ルート、御殿場ルート、須走ルートが有りますが、宝永山へ登るには富士宮口ルートか御殿場ルートになります。
富士山に登ってみたいけど体力的に心配。わんちゃんを伴って日帰りで登るにはきついと感じて、富士登山を諦めている方にはこちらの宝永山への登山がおすすめ。
更に自分やわんちゃんの体力に自信が無い方は富士宮口ルートがおすすめで、標高2,380mの五合目から宝永山へ登るには300m程しか高低差がなく平坦な登山道がほぼ占めているので往復3~4時間程度で楽しめます。とはいえ、宝永山馬の背までの登山道は急登です。
御殿場口新五合目から宝永山への登山道は、御殿場口新五合目の標高が1,440mと最も低い位置に五合目があるルートなので、高低差も1200m以上有るためその分登山道もキツくなります。
愛犬と一緒に宝永山登山開始
我が家が蕾と一緒に宝永山へ登ったのは、丁度お盆の時だったので混雑が予想されていたため早朝に出発。
富士宮口駐車場よりずっと手前まで駐車場待ちの車が並んでいました。つづら折りの道に連なる車の台数から想像すると、何時間待つようになるのかと不安になりましたが折角ここまで来たのだから並んで待つことにしました。
富士宮口の駐車場は350台駐車できるようになっていますが、途中から路肩にも駐車スペースが設けられており運良く目の前で1台空きが出ました。
登山口のある新五合目まではかなり距離がありますが、先の見えない駐車待ちをしているより確実なのでここから歩いて行くことにしました。つづら折りになっている道沿いには可憐な草花が咲いています。
天気は薄曇り。私達が車を停めたところでも2000mを超えていたと思うので平地より12度ほど低く、蕾も歩いて新五合目まで到着。
同じ富士山五合目でも吉田口はお店もたくさんあり、五合目自体が観光地化されているところなので観光客も一番多く集まる場所ですが、こちらの富士宮口にも外国人観光客が目立ち、特に中国人観光客が多くその多くはスカートをはいてヒールという出立ち。その格好で登山道を歩いている観光客もいました。
富士宮口から宝永山へ向かうルートは、富士山山頂へ上るルートと新六合目までは一緒で、新六合目の分岐で宝永山の方へ向かいます。
新五合目から新六合目のある山小屋まではたくさんの登山客と混じって登っていきましたが、新六合目の分岐からは富士山頂へ向かう登山者が殆どだったため一気に人の数が減りました。
宝永山山頂までの道のり
富士山の登山道は皆さんもご存じのように、一般的な山のような土で覆われた道ではなく噴火によって流れ出た火山岩が砕けた軽石に覆われています。
そんな殺伐とした登山道にも所々にカラマツが地を這うように延びている風景や、ホタルブクロが強風に耐えながら花を咲かせている姿に癒やされます。
六合目の分岐から緩やかな下り坂になり振り返ると、六合目の山小屋が小さく上の方に見えます。窪みになったベンチのある休憩地点まで降っていくと今度は宝永山馬の背までは急な登りが続き、馬の背まで登り切ると宝永山山頂までは緩やかになります。
ベンチの有る休憩所から宝永山を仰ぐと、富士山のコブとは到底思えない偉大な姿を見ることができ、3つある噴火口は近くで見るとまるで地獄の入り口のような圧倒される風景が広がっています。
馬の背へ向かう登山道は、急勾配の上砂のように細かく砕けた軽石が深く埋もれているため1歩前に足を出しても半分以上は滑って戻ってしまいなかなか前に進みません。
これは人間だけではなくわんちゃんにも同じ事が言え、愛犬もまるでベルトコンベアーの上を歩いているように歩いても歩いても前に進まず、足が砂の中に埋もれてしまうので歩きにくさも加わり、一番苦労した場所でした。
土の上なら5,000歩で登れる登山道でも、砂の上を歩く登山道では10,000歩歩いても登り切らないような蟻地獄のようです。
私達はそれでも登山靴を履いているので倍歩けばそれで済みますが、この急勾配を歩いていて「しまった!」と思ったのは、愛犬は靴を履いていないと言うことに気がつきました。
これだけ登るときに滑るなら、下りではもっと滑ります。海に広がる砂とは違って、軽石が細かく砕けた砂なので蕾の肉球は常に軽石でこすっているのと同じ状態。肉球を傷つけてしまいます。
幸い何度か途中で確認しながらの登山でしたが、駐車場へ戻ったときほんの少し擦りむけただけで済んだので良かったのですが、これを教訓に愛犬にブーツを購入しました。
愛犬の肉球が気になり休憩していると、富士山の救助隊の方々が通りかかりました。富士山での事故は多く、一番多いのは高山病。熱中症、滑落などもあります。
私達が宝永山へ登っているときにも救急車のサイレンが聞こえました。意外と軽装で訪れる登山者も多のですが、山頂では日が暮れると真夏でも0度近くまで気温が下がります。それに疲れも加わり体調を崩す登山者が多く見られます。
救助隊の方々を見送り、私達も最後の急登に挑みやっと馬の背に到着。ここから山頂までは緩やかな登りになり山頂を正面に眺めながら歩くことができます。
山頂では遮る物が無いため強風が吹いていることも多く、私たちが行った時、風はそれほど強くなかったのですが夏でも鳥肌が立つほど寒く、昼食を食べたらじっとしていられなくなり直ぐに下山しました。
先ほど1歩歩くと半歩下がってしまった急登での登りは、今度は逆に1歩前に足を出すと滑ってしまい1.5歩の大股になってしまいます。
愛犬は写真を撮るために少し前を歩いていた私に追いつこうと、小走りをしたつもりが停まらなくなり勢いが付いて突進してきました。私が体で受け止めやっと制止。
帰りは御殿庭から下山
帰りは遠回りになりますが新六合目を通らず森林地帯が続く御殿庭の方から戻ることにしました。
森林地帯では荒々しい富士山の容貌とは異なり、静かな木立が茂る森の中を抜ける山道なので、気になっていた蕾の肉球にも腐葉土がクッションの役目を果たしてくれるため負荷が掛かりにくくなります。
登山道は起伏もあり道幅も狭いところや木の根が絡み合っているような散策路でしたが、いつも歩き慣れている登山道そのものなので気持ちよく歩くことができました。
山小屋を通るコースより倍以上の距離はありますが、木立の中を歩く御殿庭コースは捨てた物じゃないです。愛犬も足取り軽く楽しそうに歩いていました。
駐車場から富士山スカイラインを降りていると、助手席側が完全に溝にはまり潰れている事故に遭遇。
まだ事故を起こした直後なのか、発煙筒が焚かれ救急車のサイレンが近づいてくるのが聞こえました。おそらく富士登山者が帰りに起こした物だと思うのですが、つづら折りになっている道なので、疲れによってハンドル操作を誤ったのか居眠りによる事故なのでしょうか。
富士山へ登ったときは疲れもピークに達するので、無理せず休憩を挟んで家に着くまで元気で帰って貰いたいですね。
愛犬と一緒に登る宝永山 まとめ
今回富士山のコブ、最大の側火山である宝永山に愛犬と挑み、愛犬の肉球が擦りむけてしまったことに後悔しましたが、家に帰ってから薬用石けんで綺麗に洗い数日で完治したので良かったです。
富士山のコブは遠くから見れば小さな凸ではありますが、実際目の前にするとその壮大な姿に圧倒されます。
富士山特有の軽石で埋まった登山道はとても歩きにくかったけど、日本のシンボルでもある富士山に愛犬と一緒に登れたことはとても良い記念になりました。
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